『LUNACY』と『シュヴァンクマイエルのキメラ的世界』

大阪の九条にあるシネ・ヌーヴォへ。
ヤン・シュヴァンクマイエルの『LUNACYルナシー』を観る。っちゅーか、やっと関西に来やがった!(東京は11月公開)ずっと待ってたので、期待(ハードル)がどんどん膨らみつつ、いかんいかんと抑えつつ観たけど、余裕で期待以上の作品。よかったよかった。”LUNACY=狂気”ということで、ホント全員狂っててファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督の『変態村』的な、誰が正常で、誰が正常じゃないか的な。かといって、気を衒った狂い方じゃなくリアルな感じ。ヤン・シュヴァンクマイエル自身、“哲学的ホラー”と言ってるし”おわっ!”ってビックリするけど恐いだけじゃなくユーモアもあって笑ってしまった。(客はそんなに入ってなかったけど、ホンマに”おわっ!って飛び上がってしまった。)楳図かずおさんが以前何かで、”恐怖と笑いは紙一重だ”的な(正確な言い回しと違うかもしれないけど。恐怖・ギャグ漫画両方描かれてるし、観る人を驚かすという意味で。)ことを言ってらしたが、まさにそんな感じだ。精神病院が舞台なのでみんな狂ってるけど、大人が真剣にこんな事(演技)してると考えるとさらに面白い。撮影現場を観てみたいものだ。(と、思って調べたら、主要登場人物以外の患者の人は本物らしい。”プロの俳優では本物の患者みたいに上手に演じることができないと思います。”だそうだ。)ま、あまり内容の事は書かないように自制するけど、観た人と語り合いたいものだ。で、そのまま2本目『シュヴァンクマイエルのキメラ的世界』も観る。こっちは、ドキュメンタリーで『オテサーネク』の撮影シーンやプライベートなシーン。↑『LUNACY』観ながら撮影現場見てみたいと思ってた直後だったので、ちょうど良かった。映画と違って”現実”って感じで、これはセットで見た方が良いし、逆にさらにもう1回『LUNACY』を観るってのもアリだと思った。今回始めて、このシネ・ヌーヴォで映画を観たけど、かなりイイ。いつの時代やねん?って言うような造りで、外装は金属で出来た薔薇が装飾されてるし、劇場内(客席)の壁や天井には気泡やひび割れのペイント(お化け屋敷とか昭和の芝居小屋チックな)、照明の周りには針金の輪っかが大量にぶら下がっている。それが、ヤン・シュワンクマイエルの映画の空気感とピッタリだ。5月に京都シネマに回ってくるみたいだけど、シネ・ヌーヴォで観て正解だった。

『LUNACY』
http://www.a-a-agallery.org/event/lunacy/


2007310.jpg